映画『プレデター』といえば、このセリフ!
“If it bleeds, we can kill it.“
(血が出るなら、殺せるはずだ)
…と言いたいところですが、実は英語圏で最も有名なのはこちらです。
“Get to the chopper!“
(ヘリに急げ!)
「え、なんでこれ?ただの指示じゃん」。日本人には不思議に思えますよね。
アメリカなどでは、セリフの「意味の深さ」と同じくらい「リズム」や「なまり」が愛されます。このセリフを叫んだのは、あのアーノルド・シュワルツェネッガー。そのクセの強い発音によって、今やネットスラングやミーム(ネタ)として広く世界で知られているのです。
一方、日本ではシーンのカッコよさや、物語を象徴する「深イイ」セリフが好まれがち。この「名言」に対する感覚の違いを知るだけで、英語文化がグッと身近になります。
この記事では、映画『プレデター』から英語学習に役立つ5つのセリフを厳選。字幕や吹き替えでは伝えきれない英語特有のニュアンスから、シュワちゃんの「なまり」の正体、さらに学校では教わらないリアルな文法まで徹底解説します。
ジャングルでの死闘から、生きた英語を学び取りましょう!
・5つの名セリフから学ぶ条件・仮定・二重否定などの文法ポイント
・ワンライナーやブラックユーモアなど映画特有の英語表現
・シュワちゃんのなまりに学ぶ「完璧でなくても伝わる」英語学習法
プレデターの名言5選で英語学習:ゲット・トゥ・ダ・チョッパー!
- “Get to the chopper!” — ネットミーム化した名セリフの秘密
- “If it bleeds, we can kill it.” — 条件を表すifの使い方
- “Knock-knock.” — 死闘の中のブラックユーモア
“Get to the chopper!” — ネットミーム化した名セリフの秘密
Get to the chopper!(ヘリに急げ!)
【注意!】クリックで音が出ます。
シーン
プレデターに追い詰められたダッチ(アーノルド・シュワルツェネッガー)と捕虜のアンナ。ダッチがアンナに叫ぶセリフです。
英語のポイント
“chopper” は、ヘリコプターを指す口語表現。ローターが空気を切り刻む(chop)音や様子から来ています。
注目すべきは、シュワちゃんの強いなまり。
“Get to da choppa!”(ゲット・トゥ・ダ・チョッパー!)と聞こえます。
デビュー当時、「なまりを直すべきだ」とアドバイスされても、あえてそれを売りにした彼の個性が光ります。
解説
日本では “If it bleeds…” が有名ですが、英語圏で『プレデター』といえば “Get to da choppa!” が真っ先に挙げられます。
人気の理由は以下の3つ。
- 語呂の良さ:リズミカルなビートの中毒性
- 発音:独特のオーストリアなまり
- ギャップ:絶体絶命の叫びなのに、響きはコミカル
アメリカではネットスラングとして定着し、「とにかく急いで逃げろ!」という意味で使われます。日本の「逃げてー!」に似ていますが、より強引な「さっさとずらかれ!」といったニュアンスです。
“If it bleeds, we can kill it.” — 条件を表すifの使い方

If it bleeds, we can kill it.(血が出るなら、殺せるはずだ)
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シーン
ジャングルの下草に残された、緑に光る液体。アンナがダッチに「葉に血痕があった」と告げたとき、ダッチが返した言葉です。
英語のポイント
このセリフの “if” は「現実的な可能性(条件)」。”if” はこのような「条件」を意味する場合と、「(非現実的な)仮定」を意味する場合があります。
A:条件(現実的な話)
“If I save money, I can buy a house.”
(お金を貯めれば、家が買える)
※動詞は現在形:頑張れば実現できる、未来の可能性。
B:仮定(妄想の話)
“If I won the lottery, I could buy a castle.”
(宝くじが当たったら、お城が買えるのに)
※動詞は過去形:事実に反する、あるいは可能性が極めて低い話(仮定法過去)。
ダッチのセリフは A(現在形) です。「あいつは実際に血を流している。だから倒せる」という、現実的な確信が込められています。
解説
“Get to the chopper!” がネタとして楽しまれているのに対し、このセリフは「作品の象徴」であり、物語の転換点となっています。得体の知れない幽霊のような相手が「倒せる敵」へと変わる瞬間です。
“Knock-knock.” — 死闘の中のブラックユーモア

Knock-knock.(トントン)
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シーン
ゲリラの拠点を襲撃するシーン。ダッチが小屋の戸をブーツで蹴り破り、驚く敵兵に平然と言い放つセリフです。
ド派手にドアをぶち壊しながら、口から出るのは「トントン(入っていい?)」というお茶目さ。「過激な暴力に、あえて場違いなユーモアを添える」手法は、現代のアメコミ作品などにも通じます。
英語のポイント
英語圏には “Knock-knock joke”(ノック・ノック・ジョーク) という、子供たちに人気の言葉遊びがあります。
A: Knock, knock. (トントン)
B: Who’s there? (どなた?)
A: Lettuce. (レタスです)
B: Lettuce who? (どこのレタスさん?)
A: Lettuce in, it’s freezing out here!(中に入れて、外は凍えそうだ!)
※”lettuce” と “let us” をかけた駄じゃれ。
「ノック・ノック」と言われたら “Who’s there?”(どなた?)と返すのがお約束。それを戦闘中に使うミスマッチさが、このセリフの面白さです。
解説
このセリフは、いわゆる “One-liner“(ワンライナー)— アクション映画で敵を倒す前後に放つ、クールな決めセリフです。シュワちゃんの映画はこの手の名言の宝庫。その代表格は『ターミネーター』の “I’ll be back.” でしょう。
死の恐怖すら笑いに変えるタフさを演出する、アメリカのアクション映画らしい演出です。
プレデターの名言5選で英語学習:そいつは人間なんかじゃない
- “I’m gonna have me some fun.” — 狂気へと堕ちる兵士の心理
- “…it ain’t no man.” — 二重否定は「肯定」とは限らない
“I’m gonna have me some fun.” — 狂気へと堕ちる兵士の心理

I’m gonna have me some fun.(楽しませてもらうぜ)
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シーン
このフレーズは、リトル・リチャードの名曲『Long Tall Sally(のっぽのサリー)』(1956年)の歌詞の一節です。劇中、この曲は対照的な2つのシーンに登場します。
- 序盤:現地へ向かうヘリの中。ラジカセの曲に合わせて隊員たちが冗談を言い合う中、使い捨てのT字カミソリでひげを剃るマック。余裕と自信が感じ取れるシーンです。
- 中盤:戦友を殺され、プレデターも仕留め損ねたマック。ジャングルを這うように進みながら、自分に言い聞かせるようにこの歌詞をつぶやき続けます。
英語のポイント
“have some fun” ではなく “have me some fun” と言っているのがポイント。アメリカ南部や黒人英語(AAVE: African American Vernacular English)などの口語表現です。「(他の誰でもない自分のために)たっぷり楽しんでやる」という、個人的な満足を強調するニュアンスです。
解説
正気を失いかけているマック。屈強な兵士が未知の恐怖に直面し、狂気へと堕ちていくさまを鮮烈に描いたシーンです。
繰り返される “I’m gonna have me some fun.” は、もはや歌詞ではありません。それはまるで、恐怖を打ち消すための「マントラ(呪文)」。かつてヘリの中で聴いた「無敵だった自分たちの象徴」を口ずさむことで、無理やり自分を奮い立たせ、復讐へと駆り立てています。
“…it ain’t no man.” — 二重否定は「肯定」とは限らない

There’s something out there waiting for us, and it ain’t no man.(あそこで何かが待ち構えている。そいつは人間なんかじゃない)
【注意!】クリックで音が出ます。
シーン
敵はいったい何者なのか?話し合うダッチたち。「ビリー、お前は何か知ってるだろう。あれは何だ」と問われたビリーが答えたセリフです。
英語のポイント
“it ain’t no man” は、否定語を重ねることで「否定を強める」口語(非標準)表現。学校で習う標準的な英語では、二重否定は「肯定」になると教わります。
- 標準的な英語(二重否定=肯定)
“It is not impossible.”(不可能ではない = 可能だ) - 口語・非標準表現(二重否定=強い否定)
“You ain’t heard nothin‘ yet.”(映画『ジャズ・シンガー』より)
(皆さんはまだ何も聴いていない = お楽しみはこれからだ)
ビリーのセリフは「強い否定」です。”it isn’t a man” とすべきところ、あえて “ain’t no man” と否定を重ねることで、「断じて人間ではない」という強い確信と恐怖を表現しています。
解説
人類をはるかに上回るテクノロジーで姿を隠すプレデター。その気配を「野生の感覚」で察知したのが、先住民の末裔であるビリーでした。ビリーは姿を見たわけでも音を聞いたわけでもありません。科学では説明できない本能的な危機感で、ただならぬ「殺気」を感じ取ったのです。
ビリーはこう続けます。”We’re all gonna die.“(みんな死ぬ)
果たして彼らは生き延びることができるのでしょうか。
プレデターの名言5選で英語学習:おわりに
『プレデター』のセリフには、教科書には載っていない「生きた英語」の面白さが詰まっていました。
- 独特のアクセントが個性になる “Get to the chopper!”
- 現在形の “if” で現実的な可能性を示す “If it bleeds…”
- 状況とのギャップがユーモアを生む “Knock-knock.”
- 歌詞の反復が伏線と狂気を演出 “I’m gonna have me some fun.”
- 二重否定で強い確信を表現 “…it ain’t no man.”
映画のセリフが心に刺さるのは、そこにキャラクターの体温や感情が乗っているから。英語学習では、つい文法の正しさを気にしてしまいがちですが、完璧な英語でなくても熱意さえあれば相手に伝わります。そんな勇気を、シュワちゃんの「クセの強い英語」は教えてくれます。
どんなに手ごわい相手でも、弱点さえ見つかれば攻略は可能。
“If it bleeds, we can kill it.”
この言葉を胸に、あなたも英語学習という戦場を駆け抜けてください。
※本記事で引用している映画のセリフは、批評・解説を目的とした正当な引用です。著作権は各権利者に帰属します。
